左官WSで思い出した、マリ共和国の泥の建造物のこと
先日、左官WSの事を書いたのですが、
壁を塗りながらふと思い出した事があります。
壁の表面を滑らかに仕上げる為に、最後にお水を足しながら
塗っていた時、(本当は、でこぼこが多い方が調湿率や匂いの吸着率は高いそうですが、少し滑らかにするために)その表面の粘度のような感触に、ふと、
マリ共和国の世界で一番大きな泥の建造物、
『ジェンネのモスク』の
壁の塗り替えを思い出しました。
その地域にある土に藁などを混ぜ込み発酵させた泥で、モスクの外壁を塗り直す、一年に一度の行事です。
この日は近隣の村の男性総出で、とげの様に突き出た柱を足場にしながら全ての壁を泥でお化粧直しするのです。
マリの土は少し赤みがかった色をしているため、夕日や青い空をバックにした建物の姿は本当に美しいものです。
みなさんもチャンスがあれば是非行ってみてください。
(2012年のクーデターによる影響で2019年現在、
まだこのエリアは渡航禁止になったままですが、、、、)
世界中どこでも、建物は木(または藁など)と土(またはそれに準ずるもの)があれば
とても快適な空間となる事を、マリで感じた事も思い出します。
マリの『土の家』は、日中50℃近くになる季節でも
中に入るとひんやりした空気が心地よく、
反対に、冷え込む夜は日中の太陽のお陰で
ほわっとした暖かさが残り、なんとも快適です。
ところが、近年、首都などの都市部では
コンクリートブロックとトタン屋根や
お金に余裕のある人はコンクリートで豪邸を建ててゆきます。
そういう素材で作った家は屋根の下のフロア(2階建てなら2階の部屋)にいると、
暑い日はビザ釜に放り込まれた様に熱くてエアコンが無いと本当に地獄です。
おまけに、夜、外気温が下がっても、コンクリートの蓄熱で夜中じゅうずっと熱く、
ほわっと暖かい土の家に比べ、むっとした空気が不快で寝られないのです。
ちょっと調べたところ、コンクリートブロックは
近代化?効率化?安く作る為に何か混ぜているからでしょうか?
マリに行くたびに増えるコンクリートの家やビルを見て
とても残念に思うのは私だけではないと思います。
その土地の気候にあった暮らしの知恵を大切に引き継いで行く事は
快適に暮らし続けられる事でもあると思うのですが、
都会で土の家を造るのはこれまた別の意味で大変な事かもしれません。
雨期には土砂降りの日が続くので、毎年塗り直さなくてはならない泥の家は、
ジェンネのモスクの様に既に公共物となっている物以外は
メンテナンスを考えると大変ではありますが、、、、
高千穂シラス壁を塗りながら、マリの建物を思い出し、世界中どこにいても、どんな時代も、土と木は本当に人を優しく包んでほっとさせてくれる素材なんですね〜。
今日は西アフリカはマリ共和国の思い出でした。